皆さん、思いっきり『いい笑顔』できていますか? 写真を撮るときなどいい笑顔になりたいな~と思っても歯並びが気になって口を閉じたまま遠慮がちの微笑みになってしまう、そんな方も多いかと思います。
そんな笑顔の悩みの元になる歯並びですが、実は歯の健康にも大きく関わっていると言うのはご存じでしょうか? 虫歯治療や予防などに目が行きがちな歯の健康ですが、実は歯並びもまた歯の健康に大きな影響があるそうです。
そんな笑顔へのコンプレックスを解決し、歯の健康を守っていく『総合歯科』として2021年8月に開院したのが『久屋パーク矯正歯科』。今回は同院を開院した医療法人仁支会理事長の座馬良明先生に歯の健康にまつわるお話をお伺いしました。
(聞き手:ライター・名古屋めし料理家 Swind)
座馬良明先生プロフィール
松本歯科大学卒業後、愛知学院歯学部付属病院、大手医療法人などでの勤務を経て2016年清須市にすずらん歯科矯正歯科を開院。2018年に医療法人仁支会として法人化し、2021年8月に久屋パーク矯正歯科を開院。
―― 本日はよろしくお願いいたします。はじめに、座馬先生が歯医者さんを目指されたきっかけについてお聞かせ下さい。
座馬良明先生(以下座馬) 元々『食べるためには歯がすごい大事になる』という思いがありました。最初にそう思い始めたのは中学から高校ぐらいの頃ですね。
その頃に歯を傷めてしまったのですが、やっぱり歯が痛くて勉強も何も手につかないとなってしまったんです。神経を取ったりと治療は受けたんですが、その経験から歯の健康に興味を持ちました。
そこで知ったのが「口の中の歯の本数によって健康寿命がだいぶ変わってくる」ということ。日本人は世界一長寿で、健康寿命も長いということは知っていたのですが、よく調べていくと自分自身のことを自分自身でできる、自立して生活が出来る健康寿命と本来の寿命の差というのは思っていたよりも大きいということ、そしてその健康寿命の長さに口の中の歯の本数というのが大きく影響しているということを知り、歯に対してすごい興味を持つようになりました。
―― 『久屋パーク矯正歯科』は『矯正歯科』となっていますが、実際には『総合歯科』とお伺いしております。またホームページには『審美歯科』の領域も手がけられていると拝見しました。一般の歯科と矯正歯科、審美歯科というのはどのような違いがあるのでしょうか?
座馬 まず一般歯科というのは虫歯の治療や歯石の除去、親知らずを抜くといった、いわゆる保険診療の領域で歯の健康を守るために全般的に行っているものになります。
それに対し矯正歯科というのは「歯を削らずに、歯の位置を動かして適切な並びになるよう治療する」という領域になります。歯並びを整えることで見た目が綺麗になることはもちろん、ものが食べやすくなったり、歯が磨きやすくなったりという面で歯の健康にも効果が期待されます。
審美歯科は「かぶせ物や薬剤によって歯の色を整える」という領域になります。分かりやすい例で言えば銀歯ですね。保険診療の範囲内では銀歯やプラスチックのかぶせ物が使われますが、前歯に使われるプラスチックなどは素材の特性からどうしてもくすんだ色合いになるんですよね。そういった気になる部分を、例えばジルコニアというセラミックスのような素材のものを使って、もっと本来の歯に近い透明感のあるものに置き換えて見た目を整えるのが審美歯科の一つになります。
また、ホワイトニングと呼ばれる歯を削らずに薬液によって歯の色を白くするのも審美歯科の領域になります。
―― 一般歯科でも行われる歯石除去とホワイトニングとはどこが違うのでしょうか?
座馬 簡単に言えば「汚れを落とす」範囲なのが歯石除去、「色そのものを変えていく」のがホワイトニングになります。
歯石というのは字の通り歯についた石みたいなもの。歯の表面にベタッとついてしまっている汚れを落とすのが歯石除去になります。車で言えば「洗車」みたいなものですね。
一方のホワイトニングというのは「車自体の色を変えていく」のと同じように、かぶせ物や薬液などを使って歯の色そのものを整えるというものになります。
―― なるほど、とっても分かりやすいです! さて、健康な歯を守っていくためには歯並びも大切だとお伺いしておりますが、歯の健康と歯並びの関係について詳しくお聞かせ下さい。
座馬 歯というのは、カチッて噛んだ時に大体80キロから100キロぐらいの力が掛かってきます。本来は1本の歯に対して2本で支えるようなかみ合わせになっていて、お互いに荷重負担を分散している形が一番いいのですが、歯並びがずれてしまって1本対1本の歯で噛む形になってしまうと歯に対する荷重負担がすごく強くなってしまうんですね。そうすると歯にとっては良くないという状態になります。また、歯並びが悪い状態で歯を横にギリギリと揺らすと、うまく荷重が分散されずに歯ぐきの外側や内側となるほっぺた側や舌側の骨の薄い部分に負担が強くかかってしまうという面もあります。
本来は歯を横に揺らすと糸切り歯とも言われる上下の犬歯が先に当たり、片側が当たると反対側の犬歯が浮いた状態になるはずなのですが、かみ合わせが良くないとうまく浮かずに負担になることがあります。
歯は28本あってもちろん28本全てが大切なのですが、特にかみ合わせという面で3番目にあたる犬歯と、6番目の歯である第1大臼歯が大事です。ここがずれてしまっていると、ごはんを食べるときに食べにくくなってしまいます。
―― いくつもポイントがあるのですね。こういったものは自分でもチェックできるものなのでしょうか?
座馬 自分自身ではチェックがなかなか難しいと思います。そのため大事になるのが定期健診ですね。車でも壊れた後に直すのではなく車検を受けて壊れる前に問題がないかどうかを定期的にチェックしているように、口の中も定期的に検査をして、年に3~4回は歯石を除去しながら健診することが大切です。
―― 歯が痛くなってからではなく、歯が痛む前に見てもらうことが大切なんですね。
座馬 そうですね。ただ、矯正歯科の範囲で言えば「見た目」が気になったことがきっかけで来院される方も多くいらっしゃいます。かなり出てるとか、でこぼこしてるというような見た目の問題が気になってから歯医者に来てもらうのももちろん大丈夫です。
―― なかなか自分でチェックするのは難しいとのことですが、座馬先生としてはどういった部分が気になったら診てもらうのが良いとお考えでしょうか?
座馬 笑うときに歯並びが少し気になるとか、写真を撮った時に自分の口が気になる場合は一度診察を受けるのが良いですね。矯正歯科を受ける患者さんに気になるところを聞いてみるとやっぱり見た目という方が一番多いですし、歯並びが患者さん自身のコンプレックスになって思いっきり笑えない、写真写りが気になるという意見が圧倒的に多いのも事実です。
ただ、先ほども言ったように、食べにくさを感じたり、歯を横に動かしてもらって動きにくさを感じたり、また顎の関節に痛みがあるような場合にも来院頂けると良いかと思います。人間の関節には膝とか肘とかいろいろありますが、顎の関節だけが唯一両側で繋がっているんですね。その繋がっている真ん中に歯が並んでいますので、やっぱりかみ合わせの影響によって顎の関節の方にも影響が出てくるとは言われています。顎にとって楽な状態と歯にとっていい状態がズレてしまう方もいて、それが慢性化してくると顎にも負担がかかり、音が鳴ったり顎が痛んだりという原因にもなります。また、肩こりになったり体のバランスに影響したりということもあるようです。
―― 歯の矯正というと小学校高学年から中学校ぐらいのお子さんが受けるものというイメージがあるのですが、大人になってからもこの矯正治療はできるものなのでしょうか?
座馬 子供でも大人でも矯正は可能です。ただ、子供の矯正と大人の矯正では目的が異なります。
子供の矯正は「永久歯を並べるための場所をしっかりと作っていく」というのが治療目的になりますね。子供は身長が伸びますし顔もまだ大きくなっていきますので、それに合わせて歯が並ぶ場所もぐっとこう変わります。しっかりと永久歯を並べるために場所を作るために、一人一人に合わせた装置を作って治療をしていきます。
一方、大人は身長も伸びませんし、成長がとまっています。歯は上下の顎の骨に刺さった状態で生えていますので、歯が並ぶ場所自体は大きく変わりません。そのため、歯が並ぶ場所ではなく歯の位置を整えていくのが大人の矯正になります。いわゆるワイヤーやマウスピースでの治療は永久歯に対する治療、つまり大人用の矯正治療なんです。
もちろん適切な治療を受ければ大人の歯であっても歯の位置を矯正していくことはできます。しかし、歯が並ぶ場所は変わりませんので、あまりにも凸凹してしまっている場合などはどうしても歯を抜かないと治せないようなケースも中にはあります。
―― 私は親知らずのうちの一本が横向きに生えてしまっていたのですが、そうした親知らずの生え方によって歯並びに影響するようなことはあるのでしょうか?
座馬 色んな考え方があるのですが「ものすごい影響があるわけではないけど、小さい影響があるかもしれないぐらい」という意見が多いようです。
ただ、親知らずについては歯並びへの影響よりも大事なポイントがあります。というのも、親知らずが横向きに生えている場合、ダイレクトに当たっている奥歯の側面がどんどんえぐれてきてしまい、歯が駄目になってしまうことがあるんです。それによって神経を取らなければならなくなったり、場合によっては噛んだときに折れてしまったりということもあります。歯並びを気にするよりも、ダイレクトに当たっている奥歯を残すために必要であれば親知らずを抜くとかっていうことの方が考え方としては合ってるんじゃないかなと思います。
親知らずを抜くのは大きな病院で対応する場合も多いのですが、当院は横向きに生えているようなものを含めて、難易度の高いものであってもほとんどの親知らずを抜くことができます。矯正の相談が多いのですが、その治療の中でこのような親知らずの治療にも対応出来るのは強みの一つだと考えています。
―― 患者さんの歯をトータルでケアすることができる『総合歯科』の強みですね。さて、久屋パーク矯正歯科では『クリアスマイル矯正』という治療を行っているとホームページにありました。この治療はどういったものになるのでしょうか?
座馬 大人の矯正の場合には、取り外し式のマウスピースを使う矯正と古典的なワイヤー矯正という二種類の方法があります。『クリアスマイル矯正』はマウスピース矯正の一つで、見た目では矯正治療中であることがほとんど気づかれないこともあり人気になっています。
ただ、マウスピースもワイヤーもスーパーマシンではないので、それぞれの装置に得意な動きや苦手な動きはあります。私自身、マウスピース矯正が日本に入ってきてから400症例ぐらい手がけていますが、全ての患者さんをマウスピース矯正で治療できるというものではありません。また、昔ながらのワイヤー矯正でも、今はワイヤーもワイヤーを止めるブラケットも白や透明の目立たないものができてきていますので、見た目の問題もかなり少なくなっています。そのため、これはマウスピース治療で出来るとかこれは難しいというのをドクターがきちんと判断できる必要があります。そうでないと、患者さんに説明する時や治療後に問題になってしまいますからね。
―― 患者さんの状況に合わせて適切なものを選ぶのが大切なんですね。ところで、マウスピース矯正というのはどのタイミングでマウスピースをはめるのでしょうか?
座馬 当院で行っているクリアスマイル矯正の場合、ご飯食べる時と歯磨きの時以外はマウスピースをつけていただきます。目標として22時間を目標につけてもらうという形となります。
―― 治療期間はどれくらいになるのでしょうか?
座馬 患者さんによって期間は異なりますが、平均的には2年ほど続けてもらいます。ただ、同じマウスピースをずっとつけてもらうのではなく、2週間ごとにマウスピースを交換し、少しずつ矯正を進めていくのがクリアスマイル矯正の特徴です。
ただ、治療期間については患者さんがどこまで治療したいかによっても大きく変わります。例えば、見た目の部分だけ治療してほしいと思っている患者さんに対して、「歯を残そうとするためには、2年かけて見えない部分の奥歯のかみ合わせまでしっかり直したほうがいいですよ」とお話してもとなるとなかなか納得しづらいですよね。歯科医師としては今でももちろん「歯を残すための一番良いかみ合わせ」に矯正していくことが一番のゴールだと思っていますが、一方で見た目が強く気になっている患者さんであれば、例えば前歯などの気になる部分に集中して短期間で治療するということも行っています。患者さんの悩みを解決するために、患者さん一人一人にとってのベストな治療方法や期間を選んでいくのが大切だと思っています。
―― 患者さんの気持ちに寄り添いながら治療されているわけですね。さて、ここまで歯の治療についてお聞きしてきましたが、普段の日常生活の中で歯の健康を保つために気をつけた方が良いことはありますでしょうか?
座馬 まず歯磨きを歯ブラシだけで終わらせてしまっている方が非常に多いと感じます。歯ブラシで磨けているところはてっぺんや横の面なのですが、この部分は正直に言うと唾液がかなり洗い流してくれるんですよね。実際に細菌がたまりやすいのは歯と歯の間や歯茎の際の部分なのですが、こういった部分は歯ブラシが届かないんです。そのため、そうした部分をケアするために、歯間ブラシやデンタルフロスというものを使うのが大切になります。
また、歯磨きをするタイミングも実は大事です。実は歯磨きは食後すぐではなく、食事を終えて30分ぐらい経ってからした方がいいんですよ。
―― え!? そうなんですか?
座馬 食事をした直後というのは口の中が酸性になっていて歯が溶けやすい状態になっているんです。そこから三十分ぐらい経つと、唾液の力によって口の中が中性になり歯が溶けづらい状態になります。そのため、歯磨きをするのであれば口の中が落ち着いた後、食後30分ほど経ってからというのが良いんです。
また、歯はついつい力強く磨いてしまいがちなのですが、あまりゴシゴシと力強く歯磨きしてしまうと肝心の歯が削れてきてしまうんですよね、そのため、歯磨きはなるべく一本一本マッサージするような感じで磨いてもらうのが良いと思います。歯は湾曲していますので、一個の歯の片面につき三面あると思って磨くといいですね。表と裏でそれぞれ3面、合計で6面になりますので「6面磨き」という形で推奨しています。
もう一つ、歯間ブラシや歯ブラシは自分にあったものを使うのが大切です。もちろん高いものが良いというのではなく、自分の歯の状態に合ったものであることが重要。とはいえ、薬局に行ってもどれが自分に合っているかはなかなか分からないと思いますので、プロである衛生師に選んでもらうのが大事だと思います。
それと、歯ブラシについては月に一回は必ず変えていくのが大切です。ちなみに自分の場合は毎月1日に変えています。
―― なるほど! 交換する日を決めておくと分かりやすいですね。さて、最後に改めて歯の健康を守ることの大切さについて、座馬先生からのメッセージをお聞かせ下さい。
座馬 自分自身が楽しいなっていう風に思っている時の一つとして「気の合う仲間と食事を楽しめる」というのがあります。仲間と食事をしているときに、頑張ってきてよかったな、この仲間と出会えて良かったなと心から思えるときがあったんですよね。
食べるということを嫌いな人はいませんので、患者さんが大切な仲間や大切な方と食事を楽しむことができるためのサポートを自分ができればいいなと思っています。
また、もし「笑うこと」に対してコンプレックスがあったらぜひ当院に来てもらえればと思います。当院では適正な価格で矯正をしたいという思いで、色々な部分を工夫しながらできる限り価格を抑えて患者さんに対して向き合っています。もし、矯正を高いと諦めている方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院にご相談いただければと思います。
―― ありがとうございました。
歯は健康な暮らしにとって欠かせないものであり、何より「美味しいご飯を食べるため」には不可欠なもの。「虫歯になってから治す」のではなく、日頃からのケアや定期的な健診が欠かせないのだと改めて意識することができました。私もおいしいご飯を食べるために、これまで以上に歯のケアをしっかりしようと思います。
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