名古屋の大須に、ナゴヤのトキワ荘と呼ばれている漫画家の聖地があるのをご存知でしょうか? 普通の漫画喫茶とは違う「漫画空間」。店長の内藤泰弘さんにインタビューを行いました。

大須にある「漫画空間」。店長の内藤泰弘さん
「読める」「描ける」「広がる」の3つのキーワードがコンセプト
ー漫画空間とはどのような場所でしょうか?

漫画空間

「漫画を描く」敷居を下げ、漫画好きな人、漫画家を目指す人、漫画家さん、漫画に係る全ての人達のための「ふれあいの場」の空間です。
他では聞いたことのない形です。


新刊はあまりおいていないんですが、古いものこそ読みたい人がきますね。

手塚治虫の「新宝島」の復刻版など、他の漫画喫茶ではお目にかかることができないような、レアな漫画も読むことができます。

大物・レア物・絶版・復刻版コーナー。その隣には、有名な漫画家さんのサインとイラストが飾られています。


店内の漫画を描くスペース

漫画を描く道具が一式揃っています。

デジタルでの漫画作成も可能だそう。

この場所に集まってくる皆さんが言うのは、「なかなか周りに描く人がいない」と。職場だったり身近でも、漫画の話はなかなかできなかったり、描く人なんて誰もいないから、一人でコツコツずっと描いているだけの人も多い。
最近は、TwitterやSNSなどで繋がることのできる場所は色々ありますが、昔はそういうのもなかったので、描く人が交流できる場所を作ろうと思ったのが一番ですね。

描いた漫画を他の方に読んでもらうこともできるのだそう。
ー愛知県内から通われる方が多いですか?


ーこの大須にしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

ー色々なイベントや講座も開催されているんですよね。


店内に飾られている、有名な大御所漫画家さんたちのサイン。愛知在住の鳥山明先生のサインもあります!


残りの人生を後悔せずに、本気で向き合いたい。
会社を退職し、漫画に関わる人生へ
ー「漫画空間」を創ろうと思った経緯はなんだったのでしょうか。


その時思ったのが、果たして定年までこの場所で働いてていいのかなと。人生、元気で働けるのはあと 20~30 年と思ったら本当にやりたいことをやりたいなと思い始めました。本当にやりたいことが漫画に関わる仕事だったんです。


やっても報われるかは分からないけれど、誰もやったことがないこと、面白いことをやってみようと思ったのがきっかけです。
会社の同僚や周りの人みんなに「やめとけ」と言われたのですが、退職金をもとにして始めました。
ー「漫画空間」を立ち上げて、大変だったことは何でしょうか?

そこから段々とお客さんの口コミと紹介でこの場所のことが伝わり、変わった店ということで取材にきていただいたりして、認知度が広がっていきました。苦境を常連のお客さんに支えていただきました。
ー漫画家の棚園正一先生とも長いお付き合いだとお伺いしました!

棚園正一先生の漫画を紹介してくださる内藤さん

棚園くんは、今も漫画空間に通ってくれています。
漫画を描く人たちが繋がり、切磋琢磨しあう場所
ー漫画空間さんからデビューされた漫画家さんはどれくらいいらっしゃいますか?




漫画空間さんに通われて、活躍されている漫画家さんの著書。Twitterでバズっている有名漫画家さんたちもたくさんいらっしゃいます。




広告代理店などから広告漫画制作の案件を漫空の作家さんに依頼したり、アシスタントの仕事を紹介したりしています。漫画を描くためだけの場所じゃなく、漫画が実際に仕事になっていく場所でもありますね。
漫画が描けるだけでなく、夢を実際に仕事にしていくことができる実践の場にもなっているのですね。



この場所で、漫画家さんたちが団欒や勉強会をしているそうです。
夢は108人の漫画家さんが、この場所からデビューすること
ー「漫画空間」を続けてきて、よかったと思うこと、嬉しい瞬間はなんでしょうか?

実際、ここがなかったら漫画をやめていた子も結構いると思うんですよね。描くことを続けるというのが一番難しい。描くことを続けることのできる場所でありたいですね。
ーこれから先の夢や目標はなんでしょうか?


笑顔で話される内藤さん。名古屋から漫画文化へ貢献、素晴らしいです!

私は水滸伝が昔から大好きで(笑)108人の豪傑が活躍する武勇伝なのですが、その大豪傑たちの活躍のように、漫画業界でも「漫画空間」から飛び出した108人の漫画家さんたちが活躍していってほしいですね。
ー人生を全力で漫画に関わる方たちにかけている内藤さん、本当にカッコいいです。まさに「ナゴヤのトキワ荘」!またお伺いいたします。ありがとうございました!

漫画空間HPはこちら
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