一流の職人があえて「冷凍」にこだわった理由とは? ~ クラフトきしめん専門店「星が丘製麺所」堀江高広さんインタビュー(中編)

2021年5月12日(水)、千種区・星ヶ丘「星が丘テラス THE KITCHEN」にオープンしたクラフトきしめん専門店「星が丘製麺所」。ナゴヤビトでは「星が丘製麺所」立ち上げ人の一人である堀江高広さんへのインタビューを行いました。

名古屋でも有数の麺職人がタッグを組んで「星が丘製麺所」を立ち上げた理由は、前編にて。

[前編はこちら]

中編では「星が丘製麺所」のコンセプトの核となっている「冷凍」へのこだわりについててお伺いしました。

--星が丘製麺所では「手打ちの生麺」では無く「機械打ちの冷凍麺」を軸としています。まずは「機械打ち」にこだわった理由についてお聞かせ下さい。

機械打ちにしたのも冷凍麺にこだわったのも、きしめんというものの「扱いの難しさ」があったからです。もちろんこれまで自分のお店できしめんを手打ちしてきましたので、その難しさや大変さというのを知っているので、それを考えると「安く、幅広く、安定して」お客様に提供するというためには機械打ちが良いと考えました。

機械打ちというと隠したがるお店も多いのですが、「星が丘製麺所」では機械打ちしているところもカッコ良く見せたいと考えました。なので、お店作りに当たっては蒸留所や珈琲の焙煎所のようなところを視察しています。“工場感”のあるカッコいい製麺所がコンセプト。製麺室をガラス張りにして機械打ちの様子を見えるようにしたのもその一環です。

機械を使ったきしめん作りの様子。子どもだけでは無く大人でもワクワクと見入ってしまいます

とはいえ、機械打ちだからといって妥協しているのではなく、最良のクオリティが出せるよう様々な工夫をしています。ここは手打ちで培った技術や知識をベースに、自分と衣笠の二人で試行錯誤を繰り返してきました。特に意識しているのは「生地と会話をしながら丁寧に打つ」ということ。気温や天気を意識しながら、生地をいったん休ませるなどのチェーン店では手間と思われるようなこともきちんと取り入れ、生地に無理をさせないように丁寧に打っています。

--そのこだわりが美味しさへと繋がっているんですね。もう一つ、コンセプトの核となっている「冷凍」へのこだわりについてもお聞かせ下さい。

生麺のきしめんは打つのも難しいですが、茹でるのも難しいんですよね。茹でて、洗って、また温めてという一連の調理に職人技が必要になります。それだときしめんスタンドのような形で幅広く展開していく際にたくさんの職人が必要になってしまい、ハードルが上がってしまいます。冷凍麺であればだれでも一定のクオリティを安定して出すことができますので「きしめんを広める」ためのハードルを下げていくことが出来ます。

2番人気の「すだちおろしぶっかけ」。旨味たっぷりのころつゆと大根おろしがベストマッチ。

実は10年ぐらい前に一度冷凍麺に取り組んだことがあるのですが、当時は自分の求めるクオリティを出すことができず、断念せざるを得なかったんです。しかし、現在の冷凍技術は本当にすごいんです。まさに「冷凍が始まっていた」という状況。東京の高級スーパーなどでは1食1500円するような冷凍の長崎ちゃんぽんや、1食2000円以上もする一流の味をそのまま冷凍した高級ハンバーグなどもありましたし、さらに「冷凍専門の高級スーパー」というのも登場している程です。

そうした最新の冷凍技術を使うことで、自分たちも満足ができる冷凍のきしめんを作ることが出来ました。イートインでも冷凍麺を使っているのですが、お客様から「これって本当に冷凍なの?」と驚かれる方も多いです。イートインで召し上がった方が、冷凍麺を買って帰られる方も大変多いですね。

物販コーナーのショーケースには冷凍きしめんやつゆがズラリ

生麺のきしめんは茹でるのも秒単位で味が変わってしまうため、家庭で美味しく茹でて貰うのはなかなか難しい。でも、冷凍麺なら解凍してもらえば家庭でも同じクオリティで召し上がって頂く事が出来ます。今回はあくまでも「きしめんを広めたい」という点においてはこの点も有利になってくれると思っています。

SNSでいくつか拝見したのが「星が丘製麺所で久しぶりにきしめんを食べて美味しかったから、今度は地元のうどん屋さんで初めてきしめんを注文してみた」という投稿。「星が丘製麺所」の狙いはあくまでも「きしめんの普及」にありますので、これを見たときに自分たちの思いが通じたのかな、「星が丘製麺所」の効果が出たのかなと感じました。「星が丘製麺所」のお客さんは地元の人たちがほとんど。今は1日500食ほど出ていますが、きしめんの普及に少しずつ貢献できていくのではと思っています。

きしめんと一緒に頂いた天ぷら。こちらもどれも絶品でした!!

手打ちで培った技術と知識があるからこその「機械打ち」、そして最高のクオリティを安定して生み出していくことを可能とした「最新の冷凍技術」。この両輪が合わさって再び地元名古屋の人たちも「きしめん」の魅力を再発見しているのではないかと感じました。後編では、「星が丘製麺所」のさらなる魅力についてのお話は後編にて!

[後編はこちら]

星が丘製麺所の所在地や詳しい営業情報などについては公式ホームページを、最新情報は公式instagramをご覧下さい。

Swind/神凪唐州

作家 兼 名古屋めし専門料理研究家。
名古屋と名古屋めしをテーマに小説、漫画原作、料理本、コラムなどを執筆。

名古屋めしレシピ動画&生配信→http://youtube.com/c/swind758/

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