メイドインナゴヤのくせに、これを取り上げんでどーする⁉︎という超大型イベント「あいちトリエンナーレ2019」。8月1日からスタートしたこのイベントも、いよいよ10月14日にフィナーレを迎えます。
2010年に産声をあげたこの国際芸術祭は、3年ごとに名古屋市を中心に開催されており、国内外から多くのアーティストを迎えて現代美術や映像、パフォーマンスなど様々な表現を展開。
4回目を迎える今年は「情の時代」をテーマに、最先端の芸術が市内各所で展示・開催されます。メイン会場は、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道(しけみち)・円頓寺、豊田市美術館・豊田駅周辺の4会場です。
どれに行こうか迷ってしまうほどの多彩なプログラムの中から、今回は四間道・円頓寺エリアで展開されている展示に行ってきました!
江戸の面影を残す四間道・円頓寺商店街がまるごとアートに
名古屋城の城下町として知られた四間道・円頓寺界隈。白壁の土蔵が続き、今なお江戸の風景を残す街並み保存地区の四間道は、ちょっとしたタイムトリップエリア。全国的にも珍しい「屋根神様」や、築100年以上の長屋を改装したカフェなど見どころ・和みどころが点在します。
四間道北端より西に伸びる円頓寺商店街は、昭和の古き良き時代を感じさせつつも、新しいお店やイベントなどを立ち上げ、活気を見せています。
このエリアでどんなアートが展開されているのか?円頓寺商店街西入り口からスタートし、四間道へと向かいながら見ていきます。
おっとその前に。チケット発売所などに置いてあるフリーペーパー「四間道・円頓寺地区お散歩ブック」を入手すると、トリエンナーレの1DAYパス・フリーパスの提示で協賛店のサービスが受けられます!↓コレです
それではスタートしましょう!
■メゾンなごの808
1階/「輝けるこども」弓指寛治
「慰霊」「自死」をテーマに創作活動を行うアーティスト。2011年に起こった鹿沼市クレーン車暴走事故を題材とし、被害者・加害者それぞれを取材、コメントとオブジェ、絵画で表現。
ひとつの出来事に関わる人やその家族、友人知人など多くの人々の思いが凝縮されていることを感じます。
2階/「Synchronized Cherry Blossom」毒山凡太朗
3つの映像作品から、時代と状況の変遷やそれに伴う当事者の思いが伝わります。メイン作品である「Synchronized Cherry Blossom」は、名古屋名物のういろうを桜の花びらの形にし、満開の桜のオブジェを作り上げています。
個人的に、公共の場で泥酔して眠る人々の映像に、聖書の言葉を被せた「ずっと夢見てる」が刺さりました。モヤモヤとした感情を紐解くまでが鑑賞なのかもしれません。
■那古野二丁目長屋
「飯田洋服店」越後正志
展示会を行う場所で素材を集めて作品を作り、終了後にはもとに戻すという「ものの移動」による作品を多く手がける作家。今回は円頓寺商店街の「飯田洋服店」から先代店主の仕事で使われた素材を抽出し、建物の2階に展示。先代の仕事の様子が見えてきます。
■幸円ビル
「声枯れるまで」キュンチョメ
ホンマエリとナブチ、男女二人のアートユニット。性別と名前を変えた人物にインタビューする映像作品。望んだ性になるまでの経緯や思いを引き出し、不自由さと自由を体感していく本人の内面の変化を綴っていきます。新しい名前を、声が枯れるまで大声で叫び続けるパフォーマンスは胸に迫ります。
■円頓寺駐車場
「MISSING PIECE」鷲尾友公
イラストや立体、ファッションなど、メディアや手法を問わない様々な作品を作り続けている鷲尾友公。円頓寺駐車場はトリエンナーレの音楽プログラム・円頓寺デイリーライブが行われる場所であり、ステージのバックの家屋壁面に「情けの時代」をテーマとした大作を描いています。
■円頓寺銀座街店舗跡
「葛宇路」葛宇路(グゥ・ユルー)
円頓寺商店街から一本南に入ったところにある円頓寺銀座街。その店舗跡に立つのは、アーティスト本人の名前を冠した交通標識。作者が地元中国で実験的にこの標識を立てたところ、公共の標識のように扱われていったそうです。風景に溶け込みながら、はっとする瞬間を与えてくれます。
■那古野一丁目長屋
「円頓寺ミーティングルーム」梁志和(リョン・チーウォー)+黄志恒(サラ・ウォン)
屋根神様のある古民家内に展示される二人の写真家の共同作品。被写体の人物は古い写真の装いを再現しています。ガラス張りのテーブルには円頓寺ゆかりの人々の写真が展示されており、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。
■伊藤家住宅
「あなたは、その後彼らに会いに向こうに行っていたでしょう。」津田道子
江戸時代に建てられた伊藤家住宅の二間で展開される音と映像のインスタレーション。人々が舞う姿が映し出される映像と部屋を移す鏡。自分が映像の中に入ってしまったような不思議な感覚です。
「町蔵」岩崎貴宏
伊藤家の離れの蔵の内部に広がる小宇宙。本や箪笥などを積んだ両脇のオブジェを見ながら通路を進み、突き当りの一段上がった場所から振り返ると、そこは一面炭で覆われた焦土…。これは過去なのか未来なのか?
円頓寺界隈の展示をざっと紹介しましたが、実際に作品を目の前にするとさまざまな感情が現れては消えてゆきます。
私にとっても、感じ、心に残るものを味わい、自分のできることは何だろう?と考えさせられたアートイベントでした。
10月14日にフィナーレと残り少ない日程ですが、ぜひ一度足を運んでみてください。
※各エリアのプログラム詳細はこちら!
<料金>
一般①ワンデイパス1400円 ②フリーパス3000円(高校・大学生料金あり。中学生以下無料)
※ワンデイパスをフリーパスに変更する「アップグレード制度」(+1600円)もあります。
※円頓寺エリアのチケット購入は「メゾンなごの808」前の特設ブース、「ふれあい館えんどうじ」にて。
※四間道・円頓寺エリアのパスが必要な展示は以下の通り。他は無料。
・メゾンなごの808(弓指寛治/ 毒山凡太朗)
・幸円ビル(キュンチョメ)
・伊藤家住宅(津田道子/岩崎貴宏)
商品金額:3,000円
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