ナゴヤに縁のある様々なジャンルの書籍を著者へのインタビューを通じてご紹介する「ナゴヤビトブックス」。第5回は、牛田吉幸さんの『名古屋の富士山すべり台』をご紹介します。
―― はじめにご経歴をお聞かせ下さい
かれこれ20年ほど公園遊具を追っています。今でも休みの日には行ったことがない公園に行き、遊具で遊んでいます。
――本の執筆を手がけられるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
名古屋市にある富士山型の遊具は以前から撮り集めていたのですが、2015年にドデスカ!全力リサーチ「富士山すべり台」回に出演した際に、どうやら「富士山すべり台」では私が第一人者らしい、こんなことをしている人は他にはいないと気がつきまして、より正確な調査研究を始めたのが始まりになっています。
――『名古屋の富士山すべり台』はどのような内容でしょうか?
遊具について調べた本、というのが一般書では初めての試みなので、今までに知られていない情報が盛りだくさんです。施工された方から彫刻史の先生まで様々な方にお話をうかがって、コンクリート遊具の歴史にまで迫りました。
名古屋の人にとっては、現存するすべての富士山すべり台について所在地や製作年などを写真付きで紹介しているので、公園巡りのガイドブックとしても使えますし、またすでに撤去された富士山すべり台についても製作年や撤去年を調べ上げているので、子供の頃の思い出をたどる一冊にもなります。
―― この本を出版したきっかけは何だったのでしょうか?
2016年に鶴舞中央図書館にて「発見!名古屋の富士山すべり台」という展示と講演会を開催したのですが、編集者の大竹敏之さんが講演会にいらっしゃって「これは面白い!」と。大竹さんは、日本のコンクリート像作家の浅野祥雲研究の第一人者ですので、地元独自のコンクリート構造物という共通点に着目したのかもしれません。
すぐに「本にしようよ」という話になって最終的に地元文化に造詣が深い風媒社さんからの出版が決まりました。
―― 「名古屋の富士山すべり台」の裏話をお聞かせください
本の制作がなかなか進まずに3年ぐらい膠着状態が続いていたんですけど、そうしている間に最新の富士山すべり台がつくられはじめたのは驚きでした。なにしろ名古屋市では20年ぶりのことでしたから。たまたま職場のすぐ近くだったこともあって、建造の様子を細かく記録することができました。
富士山すべり台新造を最後の章に持ってくることで全体の構成がばっちり決まったので、このタイミングを逃してはなるまいと2021年2月にようやく出版に漕ぎつけた感じです。
―― これから書いていきたい本はどのようなものでしょうか?
文章が苦手なのであまり書きたくないのです(笑)が、公園遊具は掘り下げてみたいテーマです。とくに変わったものでなく、どこにでもあるありふれた遊具について伝えてくれるメディアはとても少ないですし、記録にさえ残らず消えてしまいます。子供の頃遊んだ遊具が写真にも残らず、どこのメーカーかも分からず、で謎は増える一方なんですよ。
Twitterで「名古屋の富士山すべり台」というアカウントを持っています。公園遊具全般のほか、趣味の電車や飛行機などの写真も上げていますので、よろしかったらぜひ。
―― 今まで何気なく見ていた「富士山すべり台」などの遊具、これからは違って見えてきそうです!牛田さんの本を手に持って公園巡りをしてみたいと思います。ありがとうございました!
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