作家・小説家 志賀内泰弘さん

ナゴヤビト

ヒト。モノ。グルメ。
独特だけど、追求するとその深さに納得。
そんなナゴヤを再発見したい。
ナゴヤビトでは、
「ナゴヤの隠れた素敵なヒトたち」を紹介します。

作家・小説家 志賀内泰弘さん

【プロフィール】
作家・小説家。
思いやりの深い世の中を目指す「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動代表。
ご縁の大切さを後進に伝える「志賀内人脈塾」主宰。

中日新聞コラム「ほろほろ通信」を担当するほか、新聞・雑誌・Web・メルマガなど多くのメデイアで、思わず心が和むハートフルな「いい話」を日々発信中。

主な著書に『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』、『翼がくれた心が熱くなるいい話』、『5分で涙が溢れて止まらない話 七転び八起きの人々』(以上PHP研究所)、『101人の、泣いて、笑って、たった一言物語。世の中捨てたもんじゃない!』(ごま書房新社)『京都祇園もも吉庵のあまから帖』シリーズ(PHP文芸文庫)、他多数。

 

人生、ギブ&ギブがすべてです。

 

志賀内氏とのご縁は、15年ほど前に開催された「志賀内人脈塾」のセミナー。以来、年に数回、手作り新聞「徒然草子」が我が家に届く。しかも毎回、驚くようなふろく付きで…。

聞くところによると、ご縁の合った方全員(4桁いってます)に送っているという。本人は「家を買えるぐらいの投資」とさらっと仰る。

志賀内さん!一体どうしたらそんな与えっぱなしができるんですか!!ということで、長年の疑問をぶつけるインタビューとなりました。志賀内氏の「ギブ&ギブ」とは?

 

ギブ&ギブは自分が心穏やかに生きるため
どこまでテイクを先送りにできるかです

志賀内氏の生き方の指針、『ギブ&ギブでうまくいく』がタイトルになった本。その極意がとある観光地のホテルを舞台に、小説仕立てで語られている

「僕が初めて“ギブ&ギブ”という言葉を聞いたのは、一宮市出身の実業家・近藤昌平さんが主宰する『VAV倶楽部』という異業種交流会で学ばせていただいていた時です。最初は『何言ってるんだろう?』と。意味がわかりませんでした。

ただ、いわゆる成功者を見ていくと、皆、目の前の人をいかに喜ばせるか。喜ばせ続けるかを考えていて、しかも見返りを求めない人が多い。マザー・テレサも自分のものは何もなく、与えるばかりだった。仏教やほとんどの宗教でもそうですよね。

商人、例えば大丸ほかのデパートでもそういう利他の教えがある。求めるならばまず与えなさいと。自分の利益のために商売しているうちは、大成はしない。

だから親切にしても見返りを期待しない、みんながこれができたら、どんなに社会はうまく回るだろう、と思うんです。つまりそういう発想で商売をしている人が成功しているんです。

ギブ&テイクだと…、例えば以前ご馳走してあげた誰かにお願いをした時、相手が忙しくて対応できないということになると、『先日おごってやったのに』と愚痴や不満に思ってしまう自分がいるわけです。それでは自分が辛くなる。テイクは別にいいか、と思わなければ自分が辛くなるんですね。ほとんどの人間関係のトラブルは、ギブ&テイクから来ていると言ってもいいと思います。

最初はギブ&テイクになっても、テイクをなるべく先送りにしていく、ギブし続ける。ギブ&ギブ&ギブ&ギブ…習慣になったらどれほど楽だろうと、ずっと突き詰めてきました。

ヒトとヒトをつなぐことで、多くの方々を影で支える志賀内氏にはひっきりなしに相談の電話やメールが来る。その一つ一つに丁寧に答える姿にギブ&ギブ精神を見る

最初は本当に意味がわからなかったから、『そういうことなんだな』と繰り返し何度も何度も自分に言い聞かせてきた。その真意まではたどり着いていなかったんですが、25年前に病気で倒れ、もう治らないと言われた時に、初めて気づいたんです。

当時通っていた京都の堀田医院・堀田忠弘院長に言われました。「働き方が、生き方が間違っている。感謝が足りない」と。堀田院長は京都府立医科大学勤務後、開業されたんですが、心理学始めインド医学や気功など、治療に関するあらゆることを勉强されています。全国から難病の患者が訪ねて来て、生き方を学ぶ道場のような場所でした。

そこで精神修行をするんです。感謝が足りないから始まり、日常でずっと感謝を意識して過ごしました。5年くらいで感謝の波動が強くなってきたと言われ、次のステップの課題が与えられる。人と比較しない、とか、恨まない、とか。いろいろな課題を与えられるんです。

10年かかりました。課題のレベルはどんどん上がっていって、最後は「不条理」でした。例えば皆が認めるすごくいい人が、震災で亡くなってしまう。なぜあんないい人が、と誰もが思う。これをどうやって乗り越えていくか…。

それを自著『京都祇園もも吉庵のあまから帖』1巻の5話で書いてます。「不条理」をテーマにするのは難しすぎるとも思ったんですが、ぜひ書きたかったんです。

京都祇園を舞台に、元お茶屋の女将とその娘を中心に繰り広げられる人間ドラマ。世の理不尽や運命の悪戯に涙する人々を優しく包み込む感動の連作短編集。2巻は著者の最新刊。

今、思うのは、人生は全て自分の責任ということ。僕は病気で生きるか死ぬかという状態になったんですが、それまではある人が憎くて殺したい、推理小説をたくさん読んで殺人の方法の研究までしたくらいでした。そんな話もその先生にしたんです。

その時に先生は、こういう話をしました。例えば乗用車がカーブを走っている。対向車線の大型トラックが車線を越えて突っ込んできた。悪いのは車線を超えてきた大型トラックなのに、トラックの運転手はかすり傷ひとつなく、乗用車の運転手は一生寝たきり。

こういう時、やっぱり相手を恨みますよね。でも先生は、そこを走っていた乗用車の運転手の責任だと。どこかへ行く目的があり、そこを走るのを選んだのはその人であり、自分の選択のもとにその場にいた。目の前に起こることは、すべて必然必要だと言ったんです。しばらくは全然納得できなかった。だけど、色々考えていくうち、そうだと思えてきました。

例えば結婚してDVに遭った。もちろん暴力を振るう相手が悪いのですが、その相手を選んだのは自分。職場でパワハラを受けて鬱になった。その会社を選んだのも自分。居酒屋で毎日会社や上司のグチを言うのが嫌なら、その会社を辞めて新しい環境にいくこともできる。

何があっても自分の責任だと思った時、ではどうするか?乗り越えていくのか?逃げるのか?それも自分で決めればいい。ただそれだけのこと。そんなふうに腹に落ちてから、何が起こっても人のせいにせず自分ですべて引き受けて、そして周りに与えていけば、良くなっていくに違いないと思えたんです。本当に病気がきっかけでいろいろなことに気づかせてもらいました。」

 

「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動で
思いやりあふれる世の中にしたい

「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動は現在個人会員(登録無料)、法人サポーター(1口月額2500円)ともに募集中。法人サポーターには毎月「いい話」を満載した小冊子「プチ紳士からの手紙」を25部送付。社員教育ツールとして活用されている

「『プチ紳士・プチ淑女を探せ!』運動を始めたのも、その病気のことで悩んでいた時期です。ある時地下鉄の駅の近くで、白い杖を持ったおじいさんがいました。『手伝いましょうか?』と声をかけるまでは良かったんですが、実際何をしていいか分からない。結局その方に聞いて、無事その方の望む場所に連れて行った。

そうしたらその方に『駅員さんですか?』と聞かれたんです。『いえ、違います』と答えたら、『駅員以外の方に声をかけていただいたのは、初めてです』と仰った。

阪神淡路大震災でも、新潟の重油タンカー座礁の時も、全国からボランティアが集まった。日本はタクシーの中に忘れ物をしてもちゃんと戻ってくる、とても親切で安全な国と世界中から言われているのに、すぐ隣で白い杖をついている人には声をかけない。それはどうなんだろう?これで良いのか?日本、と強く思ったんです。

これを何らかの活動につなげていけないか?と考えていた時、テレビであるタレントさんが「プチ紳士」という言葉を使っていたんです。電車の中で席を譲ったとか、小さな親切をした方のことをそう呼んでいたんですね。

『これだ!』と思って、ネットでその言葉を検索してみたら、全然出てこない。そこでこの言葉と活動を広めようと思い、『プチ紳士・プチ淑女を探せ!』運動を始めました。

活動内容としては、いい話を聞いたら紹介する、投稿する、ブログに書くなどして、ぐるぐる回していく。誰でもできる小さな行動だから、「これぐらいだったら」と思えることを真似して、行動してもらう。別に命をかけて人を助ける、とかじゃなくて、日常のほんの簡単なことでいいんです。みんながそれをできたら、とても良い世の中になると思いませんか?」

「たった一言で」コンテスト10周年記念の集大成『101人の、泣いて、笑って、たった一言物語』。コロナ渦の中、心和むエピソードが読者に響き、重版となった

「たった一言で」コンテストや「ほろほろ通信」など、「いい話」を常日頃募集している志賀内氏。自分が行った先々でも「いい話」はないか、アンテナを張っています。タクシーに乗れば運転手さんに、カフェに行けばお店の方に、デパート、飛行機、電車、とにかく探す。面白そうと思えば改めて取材して、記事にして紹介します。「生活すべてが「いい話」探しです」と仰います。

お金もかからない、とても簡単な行動で世の中が良くなっていく。「いい話」探しも「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動」も、すべてベースはギブ&ギブ精神なんですね。皆さんも、いいお話があればぜひ下記サイトに送ってください!

『101人の、泣いて、笑って、たった一言物語。世の中捨てたもんじゃない!』の出版のエピソードです。「たった一言で」コンテンストが10周年を迎え、記念に一冊にまとめようと思ったそうです。出版されたのは今年2月。コロナが3月から本格化したため、タイミングとしては最悪でした。ところが、外出自粛に皆が癒やしを求めてか、注文が殺到!

東京のカリスマ書店「読書のススメ」からの300冊注文ほか、全国からまとめ買いの希望が続出。出版社も志賀内氏も重版という予想外の展開に驚いたそうです。ギブ&ギブはこんなふうに、想定外の良いことを運んでくれるのかもしれません。

 

■心温まる一言を募集中・「たった一言で」コンテストはこちら
■「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」のサイト・いい話の広場はこちら

志賀内泰弘さんの書籍紹介

そのほか執筆書籍多数

■ビジネス書から小説まで・志賀内泰弘氏著作はこちら

mamiko

mamiko

名古屋在住のライターです。地元タウン誌からマスコミ広報誌、旅行誌、教育関係誌まで、幅広く携わってきました。「ナゴヤビト」では地元ナゴヤ(東海圏)出身、またはナゴヤでユニークな活動を行っている人々をメインに、グルメ、グッズ、スポットなどを紹介。ナゴヤの隠れた魅力を深堀します。

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