髪の魔法使い『美容室tendre～タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん。美容師業界そのものの解決に尽力する、その原動力を聞く【後編】

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髪の魔法使い『美容室tendre～タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん。美容師業界そのものの解決に尽力する、その原動力を聞く【後編】

2020.11.7
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髪の魔法使い『美容室tendre～タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん。美容師業界そのものの解決に尽力する、その原動力を聞く【後編】

『美容室tendre～タンドル』ヘアディレクター長田美奈さん

【プロフィール】

愛知県刈谷市生まれ、南知多郡出身。

名古屋市中区で、健康な髪と頭皮を育む美容室『tendre～タンドル』を経営。2006年28歳で起業し32歳で法人化。

厚生労働省「ユースエール認定」を取得するなど、幸せな美容師を増やすため働きやすさの向上にも注力。

美容室経営（美容室tendre～タンドル）のほか、美容室経営者向けのセミナー事業、美容師の家庭と仕事の両立支援に取り組んでいる。

美容業界の困りごと解決のため、「美容師」と「美容室の空いている席」をつなげる活動中。

東洋医学＆西洋医学を研究し24年。現在、「シャンプープロジェクト」を始動。髪と頭皮を育むシャンプーの開発にも取り組んでいる。

カットコンテスト優勝＆入賞歴多数。

女性起業チャレンジ制度準グランプリ受賞。

【前編】では、長田さんの生い立ちや、美容師という仕事を決めたきっかけをお聞きしました。

【後編】では、独立のきっかけや、今後の夢と目標についてお聞きしていきたいと思います。そして、新しく始動した「シャンプープロジェクト」とは・・・？？？

独立を決意したきっかけは「女性が働きやすい、優しい環境をつくりたい」からでした

―自分のお店をだそうと決めたきっかけは？

ちょうどお店のオープンが9月だったので、今年でタンドルは15年目になりました。

独立を決定的にしたのは、突然やめていく女性スタッフたちを日々目の当たりにしたのがきっかけですね。そこから、「女性が働きやすい環境にしたい」と思うようになりました。

その当時勤務していた会社は、5店舗あった中で、7割くらいが女性でした。さまざまな理由で続けられなくなり、やめていく女性スタッフたちをみて、余計に独立をしようという思いが強くなりました。

自分のことで言うと、独立前は、不規則な生活で肌は荒れるし体は疲れがとれずで・・・。もともと敏感肌だったこともあり、美容室で使う薬液が合わなくて肌がボロボロになってしまい、美容師やめた方がいいんじゃ・・・と考えたこともありました。お客さんに「あなた肌大丈夫？」と言われたこともあります。お客さんに言われるくらいひどいのか、とショックでしたね。

自分の体のこともあり、オーガニックの勉強がしたくなって、東洋医学と西洋医学の勉強を始めました。東洋医学と西洋医学を研究して24年になります。

タンドルさんで使われている、オーガニックの香草カラー

今経営しているお店では、髪と頭皮と身体にも優しいオーガニック製品などを使っています。

敏感肌でヘアカラーは痛くて痒くてつらい、おしゃれは我慢と思い込んでいる方が、気軽にヘアカラーを楽しんでいただけるようにしたい。体質に合わせて、髪と頭皮と身体にも優しい環境づくりにこだわっています。

凛とした姿で、環境に合わせて立場を全うする。なりたいイメージモデルは天璋院篤姫なんです

―そこまでのエネルギーはどこからきているのでしょうか？

どうしたらそこまでやりきれるんですか？ってよく聞かれます。

メンターを作るといいっていうじゃないですか。何か困ったときや、こういうときどうしようって思ったときに、浮かぶ人をメンターっていうんですけど。

もちろん私には師匠もいるんですけど、自分のなりたいイメージモデルは、『天璋院篤姫（てんしょういんあつひめ）』なんです。

天璋院篤姫は、薩摩藩島津家の一門に生まれ、島津本家の養女となり、五摂家筆頭近衛家の娘として徳川家に嫁ぎ、江戸幕府第13代将軍徳川家定の御台所（正室）となった人物。江戸時代後期から明治を生き、波乱万丈の人生を送っている。

篤姫って、凛とした姿で、動じていないんですよ。

自分の意志とは関係なく環境がどんどん変わっていっても、その環境に合わせてちゃんと順応して。

それでも人を敬い、大奥の中で大変な立場を全うされていた方だなと思って。

最初は、自分がやりたかったわけじゃなく、「おうちのために」から始まってますもんね。

大河ドラマに出て篤姫を演じていた女優の宮崎あおいちゃんの最後のあの姿。私がイメージするのは、あの貫禄とイメージですね。

―でも長田さんも実際そのとおりですよね。業界のために、それを全うしようとしている。

仰せのまんまにって感じですね。

篤姫が浮かぶ前までは、メンターは祖母のイメージが強いんです。

祖母は、最後ボケる直前まで、ずっと着物で過ごしてたんですよね。祖母の着物姿がすごくかっこよくて。いつも凛としていて、品があったんですよ。なんかそれだなーと思いました。その姿が、篤姫の晩年の姿にすごく似てるんです。

これからやりたいことは、美容師業界そのものの解決をしたい

今タンドルは、株式会社タンドルという形でやっています。今年の2月に2つ個人事業を立ち上げました。

コロナ前に、ホワイト企業についての取り組みなどを教えてほしいと言う声に応えて、セミナー事業を立ち上げたんです。

コロナでzoomばかりに変わりましたけどね。

「お金をかけて集客するのはやめませんか？」なんて・・・思っています。最近はご相談いただくと、私の勉強先の師匠をご紹介させていただくことが増えましたね。

もう1つは、『３つをつなげるマッチング』というものです。

「お客様」と「美容室の空いている席」と「美容師」をつなげる。

まず登録していただく、登録は無料。美容師の柔軟な働き方と、3年で8割は倒産する美容室経営のお困り事、“あったら良いな” を創造する、マッチングです。

美容室って、全国に24万件あるんです。

美容室を利用したいお客様は、結局、そのたくさんの美容室の中から美容室情報ではなく、自分にあった美容師さんに出会いたい、でも知る術が少ない。

そんなあなたのために、3つをつなげる新しいプラットフォームでありたいと思っているんです。

自社の環境は整えることができた今、業界での困り事を解決していこうと思っています。

そんな話をすると、中々現実的に感じられない方が多いようですが。もともとこの美容室を立ち上げた時も、オーガニックの力とか東洋医学を取り入れる話をすると、同じようにあまり関心を持たれなかったことを思い出しました。その当時と同じような反応をされるので、ますます「私だからやろう！」とワクワクしています。

今の業界の状況は、美容室だったら3年で8割が倒産しちゃう。そして今、全国に75万人もの休眠美容師がいるんですね。免許をもっているけど、美容師として働いていない美容師がたくさん。美容師免許はとったけど、やりたくてもできないとか。子育てをしてる間にブランクがあるから、自信がなくなっちゃってやらないとか。そこが何とかならないかな～と思ったのがきっかけです。

わたしのお店は、ホワイト企業認定をとって、女性が働きやすい職場にしてるんですけど。私が店舗を増やして何かするというよりは、この業界そのものの解決をしていきたいですね。