ナゴヤに縁のある様々なジャンルの書籍を著者へのインタビューを通じてご紹介する「ナゴヤビトブックス」。第11回は、小島環さんの『唐国の検屍乙女』をご紹介します。
小島環さんご経歴
1985年 名古屋市生まれで、いまも在住。愛知県立大学外国語学部中国学科在学中より小説を書き始める。卒業後、工作機械メーカーに勤務するが、その後退職。建築デザインを学びながら本格的に執筆を始める。『小旋風の夢絃』で第9回小説現代長編新人賞を受賞。著書に『囚われの盤』(講談社)、『泣き娘』(集英社)、『星の落ちる島』(二見書房)などがある。最新作は4月15日発売の『唐国の検屍乙女』(講談社)。
――本の執筆を手がけられるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
幼い頃から妄想が好きでした。そこから、自分で絵を描いたり文章を書いたりするようになりました。中学の頃に「我が家は貧乏だから画材は買えないな……」と判断して、漫画ではなく小説に専念するようになりました。(漫画は今でも大好きで、小説よりたくさん読みます。)
書いていた物語を、「本」の形にしたいなと思い始めたのが大学生の頃です。その頃インターネット上にHPを作り、創作した小説を載せていました。
ある日、親切な人が、某掲示板で叩かれているよと教えてくれたので、初めて掲示板を見に行きました。そこには、「あんなスッカスカな文章を、なんでたくさんの人が見に行くのか分からない」と書かれていました。
当時の私は、「それなら誰に読まれても恥ずかしくない文章を書けるようになりたい!」と思いました。それで、プロを目指す創作講座の先生のご指導を受けることにしました。プロレベルの実力がつけば誰にも文句は言われないと思ったからです。
先生は当然プロを育てようとしていたので、先生の仰る通りに書いたものを投稿していたところ、だんだんと選考を通るようになったんです。「あれ? プロになれるかも……うん、なりたい!」と思うようになりました。
そこからは本気で執筆にかかり、色々な投稿先に応募して、受賞。
「本」の形で世に出すことができました。
――『唐国の検屍乙女』はどのような内容でしょうか?
「検屍から謎を解く! 人生に絶望した少女が破天荒な天才少年とバディを組む、中華×ミステリー×ラブコメ?」です。
1042年の北宋。
17歳の許紅花は、名医である父の許希について戦場で医者として活躍していた。
しかし怪我がもとで右手に震えが残り、戦場にも赴けず、実家の医院を手伝うこともできず、引きこもりとなってしまった。
ある時、紅花の姉が依頼を受けた検死に代わりに行くことになる。
検死のために向かった妓楼で、髑髏を抱えて罵詈雑言を喚き散らす少年、高九曜――人呼んで「髑髏真君」と出会う。
この出会いが、紅花の運命を大きく変えることとなった――。
口が悪く我儘で皆に疎まれているが、頭脳明晰で一回観察しただけで色々なことを見抜いてしまう九曜。
そんな九曜に振り回されながらも、彼の聡明さや心の機微に興味を持っていく紅花。
九曜も自分を拒絶しない紅花に興味を持ち、自分の主治医にしようと猛アタックする。
さらに許希の弟子、劉天佑からも言い寄られる紅花……。果たして紅花の選ぶ道は?
紅花と九曜が辿り着く真相とは!
―― この本を出版したきっかけは何だったのでしょうか?
もとは『小説現代長編新人賞』に応募した作品でした。落選してしまったのですが、編集さんから「落選してしまったけどおもしろかったから、来年別の作品を応募してほしい」と言われて、素直に別の作品を応募したら受賞しました。その際、「落選作は、筆力がついたら世に出そう」と言われていました。
残念ながらその編集さんは異動になってしまい、その後数年たちました。しかし、私はその作品をずっと好きでしたし、いつか世に出したいと思っていました。
デビューして7年が経ったとき、編集さんに提出しました。
「おもしろい!けれど、このままではダメ」との判断で、大幅な修正をすることに(笑)
でもおかげで、さらに良くなり、出版までこぎつけました。
後は読者さんに楽しんでいただけますようにと願っています。
―― 「唐国の検屍乙女」の裏話をお聞かせください
応募当時から大幅な変更があります。
主人公と相棒の性別が変わったこと。ラブコメを意識して登場人物を増やし、読みやすくて楽しい作品を目指したことです。
―― これから書いていきたい本はどのようなものでしょうか
人生の泣き笑いをテーマに、読んで下さる方が現実をしばし忘れて没頭できるようなエンタメ作品を書いていきたいです。
――小島さんの作品は、色や場面が鮮やかにイメージでき、読んでいるうちに、物語の中に自分自身も参加しているような気持ちになります。事件が起こるしっかりとしたミステリーなのですが、だたのミステリーではない。主人公と他の登場人物が関わり、最後は人生っていいものだなと思えるそんな著書だと感じました。
これからも小島さんのご活躍、応援しております! 小島さん、ありがとうございました!
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