ナゴヤに縁のある様々なジャンルの書籍を著者へのインタビューを通じてご紹介する「ナゴヤビトブックス」。第29回は、長屋良行さん著書の『名古屋の言い分』(ゆいぽおと)をご紹介します。著者の長屋良行さんに、著書についてお話をお伺いしました♪
ーー長屋さんのご経歴を教えてください
1957年、極寒の北海道旭川市に生まれました。大都会を夢見て法政大学に進学し、東京に在住。在学中から「宣伝会議」のコピーライター養成講座に通い、広告畑に進むことを決意しました。大学卒業後も、クリエイターの頂点をめざして、日本デザインセンター、J.ウオルター・トンプソンなど、東京の広告会社に勤務しました。ところが、1996年に家庭の事情で三重県桑名市に移住(話しが長くなるので、この部分は割愛)。同時に、名古屋の広告代理店・三晃社に転職して現在に至っています。
経歴のご紹介だけでもとても面白く、広告代理店でご活躍されてきたのが伝わってきました!
――本の執筆を手がけられるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
広告代理店でコピーライターとして、広告制作一筋で生きてきましたが、ある日突然、営業に飛ばされました。大きなコンペに勝ったり、広告賞をたくさん獲ったりして、少し天狗になっていましたので、その衝撃たるや言葉にできないほどです。
やり場のないクリエイティビティを持て余し、営業局に所属しながらも、企画ばかり考えていました。そこから生まれたのが「武将観光」であり、「名古屋おもてなし武将隊」や「徳川家康と服部半蔵忍者隊」でした。
「名古屋おもてなし武将隊」の立役者の背景には、こんなストーリーがあったとは、これだけでドラマになりそうです。
2010年に「名古屋おもてなし武将隊」が話題になり、毎日新聞の取材を受けました。その時に、勢いで記者に「思いのたけ」をぶちまけました。仕事への不満とか、コピーライターへの未練とか…。すると、その担当記者が、そんなに文章を書きたいのなら「毎日新聞中部版に記事を連載してみないか?」という提案をしてくださいました。そうして始まったのが「歴史ウォーカー」という連載記事です。
東海三県(静岡、滋賀も少し)を中心に、歴史スポットを巡りながら、同時にウォーキングも楽しめる内容でした。約1000文字程度で、月に2本掲載。当初は半年契約の予定でしたが、なんだかんだと延長になり、結局5年も続きました。
毎日新聞に連載された記事は、「ゆいぽおと」から出版され『歴史物語を歩く』、『続・歴史物語を歩く』という2冊の本になりました。それが縁で、「ゆいぽおと」からは、その後『東海の山車とからくり』、『小さな鉄道の小さな旅』、『小さな鉄道のぶらり旅』など、毎年1冊、本を出しています。
人生分からないものですね。もし大好きな広告制作を続けていたら、本を書くことはありませんでした。「置かれた場所で、咲きなさい」ということですね。
ここまで「置かれた場所で、咲きなさい」を実行に移され、たくさんの花を咲かせているのは、ご縁もですが長屋さんのお力が大きいですよね。
配属先変更がなければ、今の長屋さんの著書や「名古屋おもてなし武将隊」にも出会えていなかったと思いますし、この衝撃的な出来事に感謝だなと思います!
名古屋を代表するライター・大竹敏之さんがターゲット!
多角的に名古屋を分析し「名古屋の凄さと魅力」を集めた、新しいタイプの名古屋本
――著書『名古屋の言い分』はどのような内容でしょうか?
名古屋を代表するライター・大竹敏之さん(※)を仮想ターゲットにして、彼が知らないこと、彼には書けない「名古屋本」を書きました。よそ者の視点で、名古屋人が気付いていない「名古屋(※)の凄さと魅力」を集めました。「すごい事なのに、ほとんど知られていない」内容ばかりだと自負しています。
※大竹さんのことは尊敬しています。
※この場合の「名古屋」とは、名古屋経済圏、名古屋文化圏、名古屋生活圏のことです。
目次を拝読しただけでも、すでにグイグイと惹きつけられてしまいました。名古屋経済圏をここまで多角的に分析し書くことができるのは、ナゴヤのために尽力されてきた方だからこそだなと感じます。
一家に1冊ぐらい、たくさんの方にこの著書を読んでいただきたいですー!
――この本を出版したきっかけは何だったのでしょうか?
名古屋の会社に勤務して25年、そろそろ定年を迎える年齢になりました。北海道旭川市で生まれ育った私にとって、愛知・名古屋の「歴史と文化」は、あまりにも魅力的で、何より贅沢で、これまで十分に堪能させていただきました。
幸いにも観光行政に携わることができましたので、「武将のふるさと愛知」、「名古屋城検定」、「名古屋おもてなし武将隊」、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」など、新しい観光コンテンツをつくることができました。
この本は、その集大成であり、長年お世話になった〝愛知・名古屋〟への、ささやかなエールだと思っています。
長屋さんの集大成でもあるこの著書から、熱い想いがたくさん伝わってきました。本当にありがとうございます!
――著書『名古屋の言い分』の裏話をお聞かせください
この本は、書き始めてから出版まで、3年もかかりました。その理由は、編集者(ゆいぽおと社長)と何度も、何度も大ゲンカをしたからです。
そもそも「名古屋人は、名古屋本には興味がない。ターゲットは、ヨソからきた転勤族だ」というのが編集者の考えで、まずそこから衝突しました。
生粋の名古屋人である編集者にとって、僕が書く名古屋人論は気に入らないようで、ことごとく赤字が入りました。本のタイトルにいたっては、何度も意見が合わず、一時は「出版ができないかもしれない」とまで思ったほどです。
ただ、この担当者とは「本気でケンカができるほど」、深く信頼しています。妙に馬が合うと思っています。一人で出版社を支えているド根性に、いつも感服しています。
名古屋の「知られざる魅力」を伝えていきたい
―― これから書いていきたい本はどのようなものでしょうか?
名古屋は「モノづくり」の王国ですから、まだまだ手付かずの観光コンテンツが眠っています。その宝物を、一つひとつ掘り起こして、「知られざる魅力」を公にしたいと思っています。
地元民でも知らない名古屋の「知られざる魅力」、もっともっと知っていきたいです!
―― 最後にPRをお願いします!
『家康の10大危機』という書籍を、3月に出版しました。今年の大河ドラマに合わせて、地元の人間にしか書けない「家康ゆかりの史跡」を紹介しています。
この著書と合わせて、大河ドラマを楽しみたいと思います♪
――長屋さん、ありがとうございました!これからも長屋さんの熱い想いとエネルギーを、著書を通して感じたいと思いました。色々な作品を拝読できるのを楽しみにしています!
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